片付けパパ直伝!資格を取った、その先へ
~産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの副業とパラレルキャリア ~
| 大手電機メーカーに勤務する傍ら、約10年にわたり講演や執筆、キャリアコンサルティング、プロジェクト支援など、幅広い社外活動を行う大村信夫さん。「片付けパパ」の愛称で知られ、整理収納アドバイザーや国家資格キャリアコンサルタントとしても活躍する大村さんに、パラレルキャリアの魅力や副業の始め方について伺いました。 |
まずは「なぜ副業をしたいのか」を考える
副業を始める際、いきなりホームページを作ったり、企業や個人に営業したりする必要はありません。まず大切なのは、「なぜ副業をしたいのか」を自分自身に問いかけることです。
対人支援の専門家は、ついクライエントのキャリアに目を向けがちですが、まずは自分自身のキャリアを棚卸しすることが大切です。
「収入を増やしたい」「スキルアップしたい」「新しい人とつながりたい」など、目的によって取るべき行動は変わります。
そして、最初は小さな一歩で十分です。知人のキャリア相談を試しに受ける、スキルシェアのサービスに登録する、社内の勉強会やコミュニティで役割を担う。こうした経験が「誰かの役に立てた」という成功体験になり、自信と実績につながります。
今回のインタビューも、たまたま知り合った産業カウンセラー協会の広報の方とのご縁から生まれました。何気ないつながりも、最初の一歩になることもあるのです。
多くの人が悩む「0→1」の壁
資格を持つ方からの相談で特に多いのが、「資格は取ったけれど、実務経験が少なく、お金をいただく自信がない」「最初のお客様をどう見つければいいかわからない」という「0→1」の悩みです。
資格取得というインプットは終わっていても、それを実際の仕事としてアウトプットする場をどう作るのか。そこで立ち止まる方は少なくありません。
ただ、資格取得は学びの「ゴール」ではなく、むしろ専門家としての学びの「スタート」でもあります。対人支援の仕事は、人や社会の変化に向き合う仕事だからこそ、資格を取得した後も、知識やスキルをアップデートし続けることが大切です。
一度学んで終わりではなく、実際に人と関わり、活動する中で得た経験や気づきを新たな学びにつなげていく。そして、そこで得た知識や視点を再び実践に生かしていく。この「インプット(研さん)→アウトプット(行動)→振り返り→再びインプット」という循環を続けることが、専門性を高めていくうえで重要だと考えています。
資格を取ったから仕事を始めるのではなく、学びながら小さく実践し、実践しながらまた学ぶ。そうした姿勢が、経験の少ない「0→1」の段階においても、大きな支えになります。
また、本業に加えて家事や育児などもある中、「副業の時間や気力をどう作ればいいのか」という時間管理の悩みも多く寄せられます。
大切なのは、本業・家庭・副業を完全に切り離さないこと。それぞれの経験やスキルをつなげることで、相乗効果を生み出すこともできます。
副業の価値は「お金」だけではない
私が大切にしているのは、単なる「副(サブ)」ではなく、複数の軸を持つ「複業・パラレルキャリア」という考え方です。
その大きな価値は、「人とのつながり」と「サードプレイス(第三の居場所)」にあると思っています。
私の座右の銘は「金持ちより人持ち」。会社の看板や役職を外し、一人の個人として社外で活動すると、本業だけでは出会えなかった多様な価値観を持つ人たちと、フラットにつながることができます。
さらに、社外で得た知識や人とのつながり、新しい視点は、本業にも還元できます。私自身、社外で取り組んできたコミュニティづくりや場づくりの経験が、本業での組織活性化や社内コミュニティの運営にも生きています。
複業・パラレルキャリアは、本業に何かを「足す」のではなく、それぞれの経験を「掛け合わせる」ことで、人生をより豊かにしてくれるものだと考えています。
そして、こうした活動そのものが、新たな学びの機会にもなります。人と出会い、実践することで、自分に足りない知識やスキルに気づく。その気づきをもとに学び直し、再び実践する。活動と学びを行き来することで、専門性もキャリアも少しずつ深まっていくのだと思います。
最初の仕事は「活動」から生まれた
私の原点は、2015年から始めた社外での勉強会事務局です。
学びや交流を目的としたイベントを企画し、人と人がつながる場をつくる活動を続けてきました。
すると、活動を通じて出会った方々から、「このテーマで講演してほしい」「プロジェクトの立ち上げを手伝ってほしい」と声をかけていただくようになりました。
自分から仕事を売り込むというよりも、活動を続ける中で築いてきた信頼関係が、自然と仕事につながっていったのです。
副業を始めるとき、「まず仕事を取らなければ」と焦る必要はないと思っています。
まずは、自分ができることを発信する。そして、人と出会い、小さく活動してみる。その積み重ねが、「この人にお願いしたい」という信頼につながっていきます。
同時に、活動することで「もっと知りたい」「このテーマについて深く学びたい」という新たな問いも生まれます。その問いを次の学びにつなげ、学んだことをまた実践してみる。この循環を長く続けていくことが、結果として自分自身の専門性や提供できる価値を高めていくのだと思います。
「思考より試行」で一歩を踏み出す
副業やパラレルキャリアと聞くと、「特別なスキルが必要なのでは」と感じる方もいるかもしれません。
でも、いきなり完璧を目指す必要はありません。
これまでの仕事や人生の経験の中には、すでに誰かの役に立つ価値があります。「誰かの役に立ちたい」「こんなことをやってみたい」という小さな思いも、十分なスタート地点になると思います。
私が大切にしている言葉の一つが、「思考より試行」です。
考え続けるのではなく、まずは小さく試してみる。その一歩が、新しい出会いや仕事、これからのキャリアを切り拓くきっかけになるかもしれません。
副業の始め方を探している人ほど、まずは仕事を探すのではなく、小さな活動や人とのつながりを始めてみることが近道なのかもしれません。
学びと行動の循環が大切
試行したら、そこで終わりではありません。実践してみて、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、もっと知りたいと思ったことを振り返る。その経験を次のインプットにつなげ、また試してみる。そうやって、学びと行動を循環させながら、自分自身の専門性を生涯にわたって磨き続けていくことが大切なのだと思います。
資格を取った「その先」に、自分は何ができるのか。
そして、これから何を学び、どんな経験を積み、誰の役に立てるのか。
資格取得を一つの区切りにするのではなく、そこからも学び続け、実践し続ける。その積み重ねが、自分らしいキャリアをつくっていくのではないでしょうか。
「学ぶ→行動する→振り返る→また学ぶ」。
この循環を続けることこそが、資格取得後のキャリアを豊かにし、専門家として成長し続けるための大切なプロセスなのだと思います。
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<大村信夫さんプロフィール> 1974年生まれ、共働きで3児(大・高・中)の子育てパパ 大手電機メーカーに勤務しながら「片付けパパ」として活動。 講演・セミナー受講者は30,000人を超え、満足度(5段階評価4以上)は96%を超える。国家資格キャリアコンサルタントであり、「パラレルキャリア研究家」としても活動。商業出版は4冊。『片付けパパの最強メソッド ドラッカーから読み解く片付けの本質(インプレス)』『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣(明日香出版)』他、監修『副業の超基本(朝日新聞出版)』『家事ずかん750(朝日新聞出版)』、2026年には海外でも翻訳出版されている。 公式ホームページはこちら 大村信夫 公式ホームページ | |






