東京支部では、日常生活や仕事の中でのストレス、苦難を乗り越えるための知識や工夫を、産業カウンセラーの立場からお答えします。今回の悩み相談にお応えするのは、産業カウンセラーの宮﨑美苗さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
お話を聞かせていただきありがとうございます。
子どもさんが進学されたとのこと、おめでとうございます。
わが子の巣立ちは嬉しくもありますが、やはりそればかりではないですね。
体調に変化があったとのことですが、ご自身の睡眠や食事など、十分に摂れているでしょうか。お仕事へ行くのになかなか起き上がれないときなど、どんなお気持ちでおられるでしょうか。
ご自身でお気付きの「空の巣症候群」という心の状態は、今まで子どもというケアをする対象があったのにそれがなくなってしまい、無力感や虚脱感など、気持ちが不安定になることを指して言います。
しかし、しっかりと心の準備はできていたので寂しさばかりに囚われることなく、日常を保っておられることと推察いたします。
Fさんは今、「子供と離れて暮らすのがさみしい」ということ以外の、ご自分では気付かないちょっとした生活の変化が重なっているようにお見受けします。自分のペースで生活できること自体は楽でいいなと思う反面、大きな変化として心に負荷をかけていることも考えられるのです。
「勤労者のストレス点数の一覧表」というものがあります。
この表の中では、喜ばしい家族構成の変化や引越し、子どもの独立や進学などもストレス点数として決して少なくない数値でカウントされています。
特に、自分の結婚や昇進、収入の増加などの項目は、自分にとってポジティブな内容ですがストレスになりうるものとして挙げられています。子どもの受験勉強なども含まれていますし、合格や卒業、転居などが短期間で訪れる今のタイミングでは、つらくはなくとも、Fさんの気持ちが疲れてしまうのも無理はありません。
また、小さなストレスとされているものでも、継続していればそれが積み重なって大きなストレスとなります。時には煩雑にも感じるちょっとした親子の会話がなくなり、帰宅時間も気にする必要がない一人暮らしならではの開放感さえ、戸惑いの原因となってしまいます。ご興味があれば、ぜひ調べてみてください。(アメリカの心理学者ホームズらが1968年に作成したもの、それを80年代の日本の勤労者に当てはめたもの、さらに現代のさまざまな世代のライフイベントに当てはめたものなど、いくつか見つかるかと思います。)
通院もされているとのことですので、主治医にもよく相談しながら、Fさんが今の環境に少しずつ慣れていけるよう、ゆっくりと自分を見つめる時間を取ってみてはどうでしょうか。
治療もしっかり続けながら、仕事や趣味などをうまく組み合わせ、生活全般を自分のための時間の使い方にシフトしていけるとよいかもしれません。
焦りは禁物です。どうぞご自愛ください。
| 宮﨑 美苗(みやざき・みなえ) 日本産業カウンセラー協会東京支部 産業カウンセラーとして活動9年目。10~20代の若い世代から高齢者まで、健康やスポーツに関する相談対応を中心に幅広く活動している。 |
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