東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
今回は、長年にわたり、ハラスメントを中心とした職場の困りごと相談に応じている産業カウンセラーの川原直実さんが担当します。ぜひご一読ください。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
| 【ご相談:Wさん 男性 40代】
障害者への合理的配慮を義務化する法律が施行され、うちの会社も障害者雇用に前向きに取り組むことになりました。私の所属する現場(製造した複数の商品の仕分けから梱包までを担当)にも発達障害の人(Aさん:20代男性)が配属されてきたのですが、彼にどう対応すればいいか分かりません。 上司によると、本人からは入社時に「特に配慮してもらいたいことはない」との申し出があったとのことですが、このところ、現場責任者や同僚たちが困ることが多くなっています。 例えば、彼にはできるだけ決まった仕事を割り振るようにしているのですが、まれに臨機応変な対応が必要なことが起きた場合に、自分勝手な判断で間違った対応をしてしまうのです。日ごろから「何かあったらリーダーに指示を仰ぐように」と言っているのにもかかわらず、です。 また、同時に複数の指示を出されても、一つしか指示を覚えていられないようです。 本人も「努力しているのに認められない」など不満があるようですが、本人が「配慮は不要」と言っている中でどのように対応すればいいのでしょうか。 |
Wさん、ご相談ありがとうございます。
Wさんは職場の先輩として、Aさんへの対応について、ほかの社員から相談されたり苦情を聞かされたりもする、リーダー的なお立場なのではないでしょうか。大変だと思いますし、一人で抱えて悩んでおられるのではと心配です。
「障害者雇用促進法」が改正され、40人以上の労働者を雇用する企業に1人以上の障害者を雇用し、雇用管理や職場環境を整備することが義務付けられました。すべての人が自分らしく生きられる社会を目指すため、大切な施策の一つですが、各職場ではさまざまな問題が起きている現実もあります。
まず、Aさんに関して業務上どのような支障が起きたか、同僚の方たちからの相談や苦情も含めて、具体的に記録することをお勧めします。仕事上の問題として客観的に見るという姿勢が大切で、そのことを同僚の方たちにもしっかり伝えてください。
それをもとに上司に相談し、Aさんに関する問題に対処してもらうようにお願いしましょう。上司は部下全員の働き方に目を配り、業務をスムーズに進める責任を負っています。
会社の総務・人事部門では、採用に際してAさんの障害の特性などについて掴んでいるはずですから、上司から当該部門の担当者に報告・相談してもらい、産業保健スタッフ(産業医や保健師、衛生管理者など)にも相談してもらいましょう。そして上司から情報を得て、Aさんの障害についてできるだけ理解しておいてください。
そのうえで、何か問題が起きた時、Aさんと冷静に話し合ってください。上司にも同席してもらうとよいですね。
Aさんは「自分は一生懸命努力しているのに認められない」という思いを持っているようです。Aさんのがんばっている姿勢、支障なくできている仕事を認めたうえで、「ここがうまくいっていないよね」と問題点を指摘し、「どうすればうまくいくか考えよう」と一緒に解決する姿勢で話してみてください。
例えば、Aさんがいっぺんに複数の指示を出されても覚えていられないならば、指示を出すときにAさんがメモを取る時間をしっかり確保してあげることで改善できるかもしれません。Aさんが自分勝手な判断して困ることがあるならば、業務のその部分を複数で確認する体制をとるようにしましょう。
大切なのは、Aさんを問題視するのではなく、「今起きている業務上の問題をどう解決するか」という視点に立つことです。こうすることで、職場の皆の理解も得られ、Wさんの負っておられる心労も軽減されるのではないでしょうか。
Aさんが周囲の理解と支援を得て、元気で働き続けることができれば、きっと職場全体にもよい影響をもたらすことと思います。
| 川原直実(かわはら・なおみ) 産業カウンセラー。心理相談員。長年にわたり、ハラスメントを中心とした職場の困りごと相談に応じている。 |
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