こころのレシピ Vol.13教えたがる先輩との関係性に困っています

2021年6月16日

東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第13回は、臨床心理士・シニア産業カウンセラーとしても活躍する渋谷武子先生の登場です。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:Yさん・女性・30代】

私の職場では、50代のベテラン社員の方で頼まれてもいないのに人にあれこれ教えたがる人がいます。先日も私の担当している専門的な業務についてあれこれ言われてしまい、とてもやりづらいと感じてしまいました。

本人は気づいていないようですが、周囲の人たちから敬遠されてしまっている状況です。
きっと親切心でやってくれているのでしょうが、正直こちらは望んでいません。相手のニーズに気づかず、自己満足に陥ってしまっている方のようにも感じます。
少し前には「マウンティング」という言葉が話題になりましたが、それに近いものを感じます。
このベテラン社員の行動の原因は自己顕示欲なのか、主導権を握りたいのか、なぜこういう行動を取ってしまうのでしょう。
このベテラン社員の心理的な構造の例と、そういう人が職場にいる場合の対策案などがあれば教えていただけないでしょうか。

(渋谷)ご相談有難うございます。

ベテラン社員の先輩が「頼まれていなくても、教えたがる人」で、仕事をしていると、Yさん担当の専門的な業務に口を出したり、指導的な振る舞いが勝手に始まってしまう。このような状況を想像しました。

職場内だけではなく、こういう問題の多くの根本的な原因は、「優位・上位の側が、相手を理解・評価する気があまり無い、又は、全く無い。」ということにあるようです。
この先輩の「勝手に仕事を教えたがる」習慣に付き合わされる状況を想像すると、押し付けられる感じより先に、Yさんに嫌悪感(またか!感)が起こるのは当たり前です。

特に、繰り返される嫌な状態に拒否反応が出るこのプロセスは、健康的な心のメカニズムではあります。しかし、この先輩とは職場でのお付き合いが続くようですから、プラス感情が起きる工夫をしてみませんか?

【対応の会話の例】
「よく教えていただき、私の力もついてきました。ありがとうございます!」(強めの声で)
「自分でやってみたいし、わからない時にだけは先輩に教えてもらいたいです」。
「おかげさまで!そろそろ独り立ち出来そうになってますか?」と先輩に質問する。

迷惑に感じていても受けてしまうしかない先輩の勢いがあるのかなと実は想像しました。
先輩に遠慮をしておいでのようですが、チーム全体を見ながら仕事をしている先輩とは思えないので、伝えないとわからないと思います。親切心でやっている先輩に「私、やってみたくなっちゃった!やりますから代って下さい。」とビジネスライクに、あっさり伝えるのがコツです。

よく若者が使う手として、言葉は丁寧にしつつ心では「自分はベテラン社員と対等なんだ。」とかなり強気に構えてやり取りするというのがありますが、どうしても表情や仕草に出てしまい、関係性が悪化しかねないこともあり、かなり注意が必要でしょう。

サプリ・栄養剤等で体調を良くしておくのも必要だと思われます。
職場では、ビジネスライクで、あっさりとした実行をすすめます。自分を楽にしてあげましょう。

渋谷 武子(しぶや・たけこ)
シニア産業カウンセラー・臨床心理士。教育・病院・産業・家族領域でカウンセラーの職に就いた。

 

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