こころのレシピ Vol.14信頼できない上司との関わり方に困っています

2021年7月26日

東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第14回は、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントとして活動する山口泰明さんの登場です。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:Rさん・男性・30代】

上司の発言や行動が理解できません。責任者として数年前に異動してきた50代男性ですが、どこか無責任なのです。仕事に対して「なんで俺が…」などと平気で口にします。最近は、部下の私に仕事を押し付けてさっさと帰ってしまうので詳細を確認できず、その結果、後でやり直す羽目になることが続き、毎日辟易しています。また、自分の仕事が増えたことを部下のせいにするようなこともあり、同僚たちも呆れています。部下を見下しているなと感じます。
上司が休みの日に緊急の連絡を入れた時には「休みの日にメールなんか見たくない」と言われました。最後には自分の責任になるのに、緊急の連絡にさえ嫌味を言われるとは…。どうしたらいいかわかりません。

上司にとっては効率のよい働き方なのかもしれませんが、上司としての立場で責任を全うしてもらわないと職場全体が疲弊しつつあります。

自分自身も、この上司がその場にいない人のことを悪しざまに言うのを聞くと、この人のもとでは安心して働けない気がしています。どう捉えたら、私たちは心穏やかに働けるでしょうか。

(山口)ご相談ありがとうございます。

数年前に責任者として異動してきた上司に、仕事に対してどこか無責任に感じる言動があるとのこと。
指示出しなど業務のマネジメントや、働きやすい職場環境を整えること、責任を取ることは上司の仕事とされていますから、ご相談いただいたような言動がある上司の下では、安心して働けないと感じるのは無理もないことと思います。これまで、よく頑張ってこられましたね。

そのような中、上司の言動をどう捉えたら心穏やかに働けるだろうか、とお尋ねいただきました。Rさんは自分たちの捉え方によって対処したいと考えているのですね。

もしかすると、上司は異動してくる以前から同じやり方で、自分はうまく仕事を進めてきたという自負や成功体験があるのかもしれません。
そして、Rさんの職場でもすでに数年、実際にいまのやり方で仕事を進めてきたことから、上司はこのままで何も問題はないと考えている可能性もあるのではないかと感じました。

このような場合、部下がフォローすることで仕事が進むのならそれでよしとして、あとで部下のせいにされないよう報告は欠かさず上司におこないながら、自分で考えて仕事を進められる成長のチャンスとするのもひとつの捉え方ではあります。

しかし、職場全体が疲弊しつつあるという現状、少なくともRさんの職場では、上司のやり方によって業務上困っている旨を伝えることができたら、と思いましたが、いかがでしょうか。
難しいと感じるかもしれませんが、たとえば、Rさんひとりだけでなく、同じように考える先輩や同僚などと一緒に、職場全体の課題として上司と話し合う場を持つ方法もあります。自分たちの業務や上司に任せたいことを整理し、責任範囲の線引きを共通認識とできればよいのだと思います。

それでも上司が立場に見合った責任を果たさないと感じられるなら、さらにその上の上司や、社内に相談窓口があればそちらに相談してみるのも一案です。
自分たちだけで解決が難しい場合は、組織の問題と捉えて対応を求めることが解決への糸口となることもありますので、組織を頼ってみてくださいね。

山口 泰明(やまぐち・やすあき)
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント。
社外ハラスメント窓口や男女共同参画センターなどでの相談業務を経て、現在は主に電話・メール・SNSでの相談に携わっている。

 

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