こころのレシピ Vol.15家族と比較してしまいます

2021年8月18日

東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第15回は、産業カウンセラー・アドラー心理学認定講師として活動する小島まり子さんの登場です。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:Cさん・女性・30代】

私の悩みは、家族と比べると自分が情けなく感じることです。3歳と2歳の子どもがいますが、自分自身は5人兄弟の次女です。幼少期から引っ込み思案でした。実家は自営業で、親戚もスポーツ選手、モデル、医者と比較的派手な業種についている人が多く、サラリーマンはほとんどいません。数年前に昔からの夢であった一級建築士をとったものの、人生において有名にならないといけない、なにか世間に注目される偉業を成し遂げないと生きている意味ないのかなとさえ思ってしまうのが悩みです。幼少期から、比較的美形な家族に囲まれて私一人顔が普通であることも自己肯定観念が低い要因だと思います。

自己肯定観念を高める方法の本はたくさん読み、試しましたがやはり「一般人でいちゃいけない」という焦りがつきまとい、有名にならなくてはという気持ちが先行して、うまくいきません。 ご意見いただけたら嬉しく思います。

(小島)ご相談いただきありがとうございます。

何か世間に注目される偉業を成し遂げて有名にならないといけないと思ってしまうことや、比較的美形のご家族と比較してしまうことからのお悩み、自己肯定感を高めたいというお気持ちが伝わってきました。
自己肯定観念を高める方法の本はたくさん読んでいらっしゃるけれど、「一般人でいちゃいけない」という焦りがつきまとい、有名にならなくてはという気持ちが先行していらっしゃるのですね。
Cさんのおっしゃる比較的派手な業種の方々が親族という特別な環境で、もしかしたらご両親やご兄弟から認めてほしいという気持ちから自分を周りと比べてしまい、焦りなど感じやすくなることに繋がっていると感じました。
様々な感情の中で悩み、葛藤そして行動をして頑張っていらしたのですね。合格率が低い一級建築士を取得できたことはCさんの努力の結果ですのでたくさんご自身を労ってください。

今回の内容からCさんに「比較」「承認」「自己肯定感」についてご紹介させていただきます。

「比較」
自他共に比較は劣等感を育てます。
劣等感は悪いものではありませんし、劣等感があるから人はがんばれます。
ですが、他者との比較が強すぎると、人の人生に翻弄されたまま生きることになり、とても心が疲れて辛くなってきます。また、比較によって人との上下関係が生じてきます。
他者と比較するより、「ご自身の人生をどうしたいのか」に向き合うことをお勧めします。

「承認」
人に認められたいという気持ちも、強すぎると、人に認められて初めて自分には価値があるという独自のバイアスになります。
逆を言えば「人に認められない私には価値がない」と思うのです。
そのことで不安や恐怖、焦りが生じてきます。
人に認められるよりご自身で認めてあげたらいいですね。

「自己肯定感」
自分の存在に価値があると思える、自分自身を認めて受け入れられる感覚ですが、
一言でいうと「ご自身のありのままをただ受け止めて承認すること」です。
自分自身を承認することは容易ではないかもしれませんが、全ての思考や感情を、可も不可もなく受け止めることなのです。
そして「この私は最高な存在」と思えることなのです。否定することも比較することも焦ることもいらないのです。いつしか自分自身を信じることができるようになり、周りの人と比較することや人に認められたいという気持ちもなくなっていきます。
そのときにはきっと、周りに翻弄されることなく、地に足をついているご自身に気づきます。

これらを踏まえて考えていくと
「私は本当はどのような人生にしたいのか?」ということにも向き合えると思います。
「ご家族・ご親戚のためにCさんの人生があるのではありません。」
「ご自身の人生を歩んでいいのです。」
ご自身を信じることは、周りの人たちを信じることに繋がります。そして感謝と愛を持って他者に接することができるでしょう。それは、お子さんたちにもきっと伝わります。
日頃からこれらを意識してみてはいかがでしょうか。

小島 まり子(こじま・まりこ)
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・アドラー心理学認定講師(SMILEリーダー・ELMトレーナー)として活躍している。

 

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