こころのレシピ Vol.23 何もしない夫への不満について

2022年6月3日

東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第23回は、産業カウンセラー・アドラー心理学認定講師として活動する小島まり子さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:Sさん 40代】

50代の夫と共働きの夫婦です。結婚して20年になります。
私は事務職で毎日職場まで通勤しています。
夫は新型コロナウイルス感染症が拡大してからテレワークになり、今も会社に出社することはほとんどありません。始業時刻も遅いため、私が家を出る頃はまだ寝ています。
私が帰宅しても、夫はまだ仕事中なので、なるべく音を立てないように気を使う毎日です。

夫は昼食も家で食べるため、デリバリーを毎日のように利用するのですが、食べ終わった後の容器や食器は洗ったり片付けたりしないで放置しています。
先日疲れて帰宅した際に、あまりにもムカついたので「自分で片付けてほしい」と夫に言ったところ、「俺の方が稼いでいるんだから、それくらいやって」と冷たく言われてしまいました。
夫は転職を重ねて、年収もかなりよくなりました。そのせいか、節々に「俺の方が稼いでいる」ことを主張します。

私は掃除、洗濯、料理など、家事全般を行いつつ、毎日仕事もしています。
夫は何もしてくれません。
少しくらい、手伝ってほしいのですが、どうすればいいのかわかりません。

(小島)

ご相談いただきましてありがとうございます。
ご結婚されて20年間ご夫婦共稼ぎをされてきた中で、新型コロナウイルスによってご主人の働き方が変わるなど生活の変化を目の当たりにされて、Sさんのお心の中にある様々な気づきや変化が生じていることが伝わりました。
また、転職を重ねて年収も良くなっているご主人をSさんは尊敬なさっているようにも感じ取れました。
もしかしたら年収の言葉を言われると、無意識にご自身と比較をされているのかもしれませんね。

家事全般をされているとのことですが、仕事をしながらだと大変なこともあると思います、今まで頑張ってこられましたね。20年間ご自身がされてきたことを思い出して、ご自身をたくさん労ってください。Sさんご自身に「ありがとう」をたくさん伝えてくださいね。

では、今回のご相談の内容から「比較」「共同の課題」「期待」についてご紹介させていただきます。

「比較」
自他共に比較は劣等感を育てます。
劣等感は悪いものではありませんし、劣等感があるから人は頑張れます。
ですが、他者との比較が強すぎると、人の人生に翻弄されたまま生きることになり、とても心が疲れて辛くなってきます。また、比較によって人との上下関係が生じてきます。
無意識に劣等感・上下関係が生じないように、ご自身に自信を持たれることをお勧めします。

「共同の課題」
アドラー心理学の考え方の一つに「共同の課題」という言葉があります。
課題の分離が難しい出来事や場所に対して話し合い協力して解決していくという考え方です。例えば、キッチン・リビングはお二人が使う場所と思われますので、お仕事の収入とは区別して、お二人のご自宅をどのようにしたら快適に住めるか話し合われることをお勧めします。無理のない範囲で、お二人が協力し合える方向でお話ができるといいですね。

「期待」
人を当てにすることで、期待通りにいかなかった時に感情が大きく揺れます
期待が叶わなかった時に落胆が大きく、対象相手を責めることに繋がります。
自分が発した言葉によって相手が反応した言葉は、期待の言葉とは違うかもしれませんね。ですが、期待を外していれば、そこで大きく感情は揺さぶられません。

お休みの日にご主人が受け入れられそうなこと、例えば手が空いていたら一緒に洗濯物を畳むお願いをして、もしやってくれなくても想定内とし、やってくれた時に「嬉しいな、ありがとう」と素直な気持ちを伝え続けてみることで、関係性が変化された例もあります。ご参考になれば幸いです。
どうぞSさんご自身を大切にされながらお過ごしください。

小島 まり子(こじま・まりこ)
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・アドラー心理学認定講師(SMILEリーダー・ELMトレーナー)として活躍している。

 

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