あなたは、今年、何か新しいことをしようと考えていますか。
なかには、何をしたらよいか、まだ迷っている方もおられるかもしれませんね。
日本の社会は、職場であれ、日常の人間関係であれ、昔から「出る杭は打たれる」、つまり「人並み」であることがよしとされ、何か人と違うことをすると、人から白い目でみられたりすることが多いようです。
ところが最近、多様性(ダイバーシティ)という言葉がよく言われるようになってきました。それは人と違うことを尊重することです。あるいは自分の個性を生かせるような仕事や生活スタイルを取ることと考えてもいいでしょう。人生100年時代、働く理由も働き方もさまざまであっていい。
今年は新しい生き方、働き方を目指してみませんか?
考えてみれば、自分自身がそうでした。出版社時代に産業カウンセラーの資格をとったものの、次にどうしたらよいかわかりません。このまま出版社で働き続けるのか、それとも退職してカウンセラーを目指すのか、座礁に乗り上げ、結局3年という月日を一人で悶々と悩み続けました。
いったい自分に何ができるのだろうか?それを一人で考えてみても、でるのは「ためいき」だけです。もしもそのとき、カウンセラーがどちらがよいか決めてくれたり、魔法の言葉をかけてもらえたりしたら……、どんなにラクだったでしょう。でもカウンセラーは、私の代わりに決めてくれないし、魔法の言葉もかけてくれません。
結局、いままで積み重ねてきた実社会での経験、つまり「キャリア」がどのように役にたつのかを、自分なりにきちんと考えるしかないのですね。終身雇用があたりまえでなくなった今、自らのキャリアを主体的に考える「キャリア自律」の必要性が高まっています。今では「自分のキャリアは自分でつくる」時代なのです。
その時、一緒に考えてくれるのがカウンセラー。みなさんと一緒に考えながら助言をしてくれる専門家です。そうしたカウンセリング(相談)を通じて、あなたは自分の適性や能力、関心などに気づくことでしょう。そして、現実の社会や、会社の仕事などについて理解を深め、その中から自身に合った仕事を、自分から選択できるようになるのです。
一方、リカレント(学び直し)も積極的に考えましょう。社会に出た後も、それぞれの人に適当なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことは企業サイドからも歓迎されています。社会人の学びには学費の負担など金銭面での不安があるかもしれませんが、学び直しの支援を行う給付金制度もあります。
成長が実感できないと辞めてしまう若い人も多いけれど、一度カウンセラーに相談してからでもよいのでは? 新型コロナウィルスで友人と雑談する機会が減った今、相談室を利用する価値は高いと思います。
今年は自分をリセットする年、そして来年は、3年後は、あなたはどうなっていたいのか?
一人で悩んでいないで、カウンセラーといっしょに考えてみませんか?
<文>
内海仲子(うつみ・なかこ)
一般社団法人日本産業カウンセラー協会シニア産業カウンセラー、公認心理師(国家資格)、2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)
現在は、企業・官公庁・大学でカウンセリングや研修講師、当協会東京支部相談室にてカウンセラーとして活躍している。