【連載第3回】相乗効果!カウンセリング×アンガーマネジメント 活用のヒント

2019年8月2日

~『怒る上司のトリセツ』著者/宮本剛志さん インタビュー(連載第3回)~

2019年2月に当協会支部のシニア産業カウンセラー宮本剛志さんが本を出版しました。そのタイトルは『怒る上司のトリセツ』(時事通信社)。

カウンセラーとして、研修講師として、働く人のメンタルヘルス支援に関わる宮本さんが考えるカウンセリングにおけるアンガーマネジメントの活用とは。

ご自身の経験を交えた怒りとの向き合い方や書籍出版に対する思いについても、お話を伺いました。全6回の連載でお届けいたします。今回は第3回目です。(第2回はこちら

活動のテーマは
「職場の良好な関係が生産性にも影響する。職場の人間関係を良くしたい。」

いろいろな研究で、コミュニケーションが仕事の成果に影響してくるというのは誰もが疑わないことです。やはり「この人と仕事をしたい」という想いは大きいと私は思っています。

仕事では割り切りも大事だし、「周りに誰がいようが自分は自分」と考える必要は誰でも分かっている。それでも悩むのは、人は「気持ちが安心できる人たちと一緒にやりたい」という想いが内在しているからだと思います。

■職場のベースは良好な人間関係

私は仕事柄「仕事の量や質が大変で、コントロールの度合いが厳しい」というチームに介入することがありますが、背景には人間関係やコミュニケーションの問題があることを体感することがあります。

「ちょっとした冗談話はできるけど、仕事の話になるといきなり雰囲気が変わる」といった組織をたくさん見てきました。仕事について本音で話せることも含めたコミュニケーションが重要だと思います。

例えば、ストレスチェックの組織分析で、「上司や同僚からの支援」が数字に出てきます。その数字が良いからといって、それだけで「コミュニケーションは大丈夫」だと判断するのはとても危険だと思います。

最近、パワハラ研修を行うことも多いですが、参加者の興味はもっぱら「パワハラかそうじゃないか」という判断にある気がします。

部下の立場の方から「パワハラですか? どうですか?」と聞かれることもありますが、怒られる=パワハラと思ってしまっている人が目立ちます。そのため、「パワハラじゃなくても怒られることはありますよ」と話します。

働いていれば、褒められるだけではなく怒られることも必ずあるし、それも必要であることも分かってほしいと思ったことも、「怒る上司のトリセツ」を書いた理由の一つです。

人間関係は、飲みに行ったり褒めたりするだけではなく、「ちょっとあなたのこの辺、気になるよ。それやられると困るよ」といった耳に痛いこともしっかり言える関係かどうかが大事ですからね。

以前は職場の中でうまく叱れる人がいました。本当はそれもやってほしい事ですよね。

アンガーマネジメントでは、「怒る必要があることは上手に怒りましょう。怒る必要の無い事は怒らない」(※)と伝えています。

上手に怒るということは大事なことです。叱り方の研修もよく依頼されます。

叱る人が少なくなってきたのは、やはりパワハラとかハラスメントの問題が多くなっているからではないでしょうか。

■怒る人と怒られる人の関係性

今回の本の中では、怒られる人はなぜ怒られるのか、怒っている人とどう関わるかというところに焦点を当てました。
怒られる側の人は「自分のことを守る」ということもとても大事なので「相手の理不尽な怒りには巻き込まれちゃいけないよ」と伝えています。

怒りは感情ですから、理性的に「なんで怒られているのだろう」と思うと、ちょっと混乱する時もありますよね。ただ機嫌が悪くて怒っている人も中にはいると思うので、それを「なんで昨日と言っていることが違うのだろう」と考えても仕方がありません。それは怒られる側の人の「こうあるべき」という価値観でもあります。「昨日言ったことと今日言っていることは整合性がとれているべき」というような。

昨日と今日で違うことを言われると、「何? 何これ?」と混乱したりとか、イラついたりしますね。それが巻き込まれているということなのです。巻き込まれないためには、「昨日は昨日、今日は今日」と、分けて考えていくことが大事だと思います。

火事に例えて言えば、初期消火も大事だし、逃げることも大事です。なんでも受け入れれば良いというものではありません。怒りには流れもありますので、「どこがその人の発火点なのかを観察してください」と言っています。

そのためには相手を理解することが大事で、「朝はすごく機嫌が悪い」「この人がイライラするのはどのタイミングなのだろう」など、よく見ることです。

そして、大きく燃えないように初期消火をすることが大事です。怒られる人を傍から見ていると、「ぼちぼち怒られるよ」というタイミングで火を点けてしまっていることがありますよね。

例えば、「その人が怖い」と思ってしまうと、早く終わらせたくて一回の報告量がものすごく多くなり、相手をイラつかせてしまうことがあります。

「一回で完璧にやらねばならない」と思って話が長くなるのでしょう。さらに、怒る人も実は「この人には言うけどあの人には言わない」というケースもあります。そうするとますます怒る人のことが信用できなくなってしまう。

だから、何でもかんでも「この人の怒っている原因は自分にある」と悩み過ぎないことが大事です。

(※)は、『アンガーマネジメント入門』安藤俊介(朝日文庫)から引用しています

~次回は8/9(金)更新予定です!~

←第2回 第4回→

宮本 剛志(みやもと・つよし)

【プロフィール】
宮本 剛志(みやもと・つよし)
一般社団法人日本産業カウンセラー協会シニア産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントトレーニングプロフェッショナル™、株式会社メンタル・リンク代表取締役

教育サービス企業で管理職として、相談・研修・危機管理・コンプライアンスなどを担当。現在は当協会にて産業カウンセラー養成講座協会認定実技指導者・相談室カウンセラー・登録講師、企業・学校にて、研修講師・コンサルタント・カウンセラーとして活躍している。

(取材・文 / 岡澤健治)

おすすめ記事

人気記事ランキング

TOPへ戻る