こころのレシピ Vol.45 なぜ、同僚は嘘をつくのでしょうか?

2024年9月5日

東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第45回は、シニア産業カウンセラー、精神保健福祉士として活躍されている遠藤美穂さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:Gさん 40代】

裏表が激しい同僚がいます。新人には猫なで声で優しい先輩を演じるので、みんな最初は信頼できる人だと思うのです。しかし何年か経つとだんだん態度が変わり、相手をコントロールしようとし始めます。上司や先輩には一切そんな面を見せません。
その人が言うには「新人には指導が必要」「若い人はわかっていないから」という考えがあってのことなのだそうですが、指導役でもなく、職場の方針や現状とは乖離した自分独自の言い分を押し付けているだけなので、言われた人は混乱してしまいます。会議でも同様で、その人が関わる案件では誰も発言しなくなってしまいました。

その人が担当部署のリーダーになってからは、関連の同僚たちと頭を抱えています。
ほぼ同期の私たちはその人の指示を受ける筋合いはないので、思い通りにならないのが気に入らない様子も見て取れます。

一番困るのは明らかな嘘をつくことです。
その人独自の理由とともに業務の方針を変えるように迫られ「上司に相談した上でこの話をしている」「自分は判断を一任されている役職にある」などと言われ、困ってしまった人たちから私は相談を受けたのですが、上司に確認してみると「そんな話は聞いていないし、そんな役職はない」「変更する必要性もない」とびっくりされたことが複数回ありました。
今は、同僚と一緒に複数の上司に洗いざらい話したので、状況を把握してもらい「また何かあったらすぐに教えて」と言われています。
気に食わない人を「いじめたい」と口にしていたこともあり、ショックを受けて異動や退職した相談者の方が複数います。

単に意見が合わないだけなら調整のしようもありますが、陰で嘘をつかれると、誤解を説くところから始まりすぐに解決できるものもできなくなってしまいます。面倒な人ですが「あの人はときどき嘘をつくから信じないで」と言いたくない気持ちもあります。
個人の付き合いならばすぐに関わりをなくしたいところですが、仕事となると避けてばかりもいられません。
この人はなぜ、すぐバレる嘘をつくのでしょうか。

ご相談ありがとうございます。
嘘をつく同僚がいらして、それに困った周りの方たちのご相談をGさんは受けていらっしゃるのですね。
事情を把握し親身になってご相談を受け対応されているGさんが伝わってきました。
陰で嘘をつかれることへの厄介さや事態の修復に苦慮されているなかで、今は周りの方と情報を共有し、複数の上司の方々へ状況を把握していただくことで対策を講じておられるのですね。

「なぜ、すぐバレる嘘をつくのか」と理解しがたい同僚へ困惑しても、仕事となると避けてばかりもいられないですね。

嘘をつく行動には何らかのメリットが生じることもありますが、多くの人は良心に恥じている感覚から、嘘をついた後に後悔や自己嫌悪の気持ちを抱きがちです。ですが、今回のお話から想像すると、嘘をつく同僚からはそのような気持ちが感じとれず、そのことも理解しがたさにつながっているように思いました。

嘘をつく理由・嘘をつかざるを得ない理由はさまざまなようです。

1.自己保身:人々は時々、自分自身を守るために嘘をつくことがある。例えば、過去の過ちを隠すため、他人に不利な情報を隠すため、または罰を逃れるため。
2.社会的圧力:社会的な状況や文化的な背景によって、嘘をつかざるを得ない場合がある。例えば、社会的な期待や規範に従うため、他人を守るため、または人々の評価を気にするため。

嘘をつく同僚の言動が業務上、あるいはマネジメント にかかわる場合は上司の方々の判断にお任せしていくことになると思いますが、同じ職場に働く者としては、嘘をつく同僚の方の背景を鑑みると、少し折り合いをつけやすく なるでしょうか。嘘をつくことで何かを守っているのかもしれないという部分に納得はいかなくとも、嘘をつかざるを得ない方なのだと思い、適切な距離を保ちながら、上手に関わっていくことが大切なのかもしれません。

Gさんがその他周りの皆さんと連携されていることに一番の安心があり、Gさんの対応で周りの皆さんの安心も保たれていると思います。面倒な一面ばかりが目に付き、気の休まらないときもあるかと思いますが、周りの皆さんと共有しながら状況が一つひとつ改善されていくことを願っております。

遠藤 美穂(えんどう・みほ)
シニア産業カウンセラー、精神保健福祉士
企業の相談業務、行政の障害者支援業務に従事しています。

 

こころのレシピでは、みなさまからの質問や相談の投稿を募集しております。
産業カウンセラーとして、また個人で疑問に思うことやお悩みなど、心の専門家に聞いてみたいことをお寄せください。記事には個人が特定できないような形に変更した上で掲載させていただきます。
また、すべてのご質問に確実にお返事できるものではないことをあらかじめご了承ください。
宛先はこちら→ tyo-kouhou@counselor.or.jp
※件名に「こころのレシピ」投稿募集と記載をお願いします。

 

東京支部では、対面相談・電話カウンセリング・Webカウンセリングを行っています。
ご予約はWebから行えますのでぜひご活用ください。
<Web予約>
https://coubic.com/jaicotokyo_cs

 

 

おすすめ記事

TOPへ戻る