東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第47回は、企業における社内カウンセラーの育成やEAPでの休職者の復職支援・カウンセリングなどに携わっている香取由美子さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
【ご相談:Kさん 女性 20代】
新卒採用で就職して2年になります。 この上司は誰に対しても細かく注意して、「必要以上に細かい」と嫌がられているのですが、「そこまでの説明は必要ないと思います」などとしっかり反論する人には、それ以上追及することはあまりありません。私は気弱な性格で強く言い返すことができないので、繰り返し叱られてしまうのだと思います。 最近は夜よく眠れず、朝食もきちんすと取れないまま出社する日も多くなっています。 実は、私の母も細かいことまで厳しく注意する人で、いつも母の顔色をうかがいながら育ってきました。優しい言葉をかけられたり、褒められたりした覚えはなく、私の中で上司と母が重なって見えているのかもしれません。大学入学と同時に実家を出て、今は一人暮らしですが、いつも母の厳しい目を感じています。 就活に苦労してやっと得た仕事です。なんとか勤め続けていけたらと思っています。この厳しい上司にどう対していったらよいでしょうか。 |
ご相談ありがとうございます。
ミスをゼロにするため日々努力をしている中、些細なミスに厳しい上司にどう対応していったらよいか、深く悩んでいる様子が伝わってまいりました。上司に反論するのはなかなか難しいことと思います。
そこで、この上司にどう対応していったらよいか、行動できそうなこと、「上司=厳しく𠮟る人」以外の考え方ができないかを以下にご提示します。
- 上司は仕事上ベテランだから、ミスを指摘されるのは当たり前と捉えてみる。ミスの指摘があなたの人格を否定しているのではないと考えられそうです。
- 上司がミスを指摘する背景に上司のどんな思いがあるか想像してみる。早く一人前にしたい、という思いが隠れているかもしれません。
- 上司の人柄を周りの人に聞いてみる。意外な面がわかることで親近感がわくかもしれません。
- 上司に報告や相談する際は、信頼している先輩や同僚に一緒についていってもらう。
- 友達に愚痴を聞いてもらう。
いかがでしょうか。上司に直接、あなたの思いを伝えられるとよいのですが、それはなかなか勇気のいることでしょう。人は完ぺきではありませんので、ミスをすることは誰にでも当てはまります。あなたはまだ成長の途上ですから、減らすために努力をしていることを大切にしていただけたらと思います。
そして、上司の厳しさがお母様と重なって見えることも辛く感じておられるのですね。
あなたは、大学時代から一人暮らしをして、お母さまの厳しい目を感じることはあっても自律的にご自分の生活を営んでこられたとのではないでしょうか。厳しさでは上司とお母様には共通点があるようですが、異なるところもたくさんあるはず。違う点を探してみてください。
最後に、体調がいつもと異なる様子ですので、専門医にご相談することも検討なさってください。また、業務に支障が出るようなら、職場のどなたか(可能なら上司の上役の方)にご相談なさってくださいね。
香取由美子(かとり ゆみこ) シニア産業カウンセラー、公認心理師 。企業における社内カウンセラーの育成やEAPでの休職者の復職支援・カウンセリングに携わっています。 |
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