こころのレシピ Vol.8
「在宅による運動不足や生活リズムの乱れ」

2020年5月19日

東京支部では、この時期に寄せられているご相談について、ストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第8回は、保健師・シニア産業カウンセラーとして活躍する加賀谷代里子さんの登場です。ぜひご一読ください。

※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:Aさん男性・独身・一人暮らし・会社員・30代】
GW明けも引き続き在宅勤務が続いています。私の自宅は1Kと広くはない部屋なので、自宅での就労は、カーペットの上であぐらをかき、ローテーブルにノートPCを広げての作業です。職場のデスクトップPCでの作業に比べ疲れやすく眼精疲労や肩こりがひどくなった気がします。日中だらだらと仕事してしまうため、夕方から帳尻合わせで頑張ってしまい、つい7時~8時まで仕事をしてしまいます。それから出前のお弁当やカップ麺を食べ、スマホで興味のある動画を眺めて気づけば夜中の2時を過ぎていることもあります。結局朝は始業時間ぎりぎりまで寝てしまい、あきらかに生活リズムが狂ってきています。通勤がなくなり、近所に食材の買い出しのみと運動不足も続いていると感じます。ストレスもたまりがちなので、今からでも軌道修正をしたいのですが、取り組めることがあればアドバイスをいただきたいです。

(加賀谷)GW明けも在宅勤務が続いていらっしゃるとのこと。仕事を目的にしたオフィス環境とは異なり、在宅勤務は、無理な姿勢でのPC作業や運動不足、生活リズムの乱れなど、気になる事も多いですね。まずそのことに気づき、改善したいと考えているAさんのお気持ちが大切だと思いました。

ご自宅でも簡単にできる運動もあります。今回は、運動に取り組むことで得られる効果についてAさんに3つご紹介したいと思います。隙間時間に体を動かすことによって、ストレスもリセットすることができますよ。

運動による効果その1 セロトニンホルモンの増加
繰り返しの運動(自宅の階段昇降・腹筋・腕立て伏せ・スクワット・散歩など)によって神経伝達物質セロトニンが増加します。セロトニンは、感情の安定と喜びや幸せ感を高めてくれます。
また、セロトニンホルモンは日光にあたることで脳からの分泌が増えます。
これからの季節は朝日を浴びて起きることができるように、頭を東向きの窓に近づけて寝るようにすることで自然にセロトニンの分泌を促すこともできます。

運動による効果その2 カタルシス効果
敵意、緊張や不安のような不快な感情を流出させることをカタルシス(浄化)といいます。好きな本を読む、音楽を聴く、映画や動画を見て笑う、泣く事でもカタルシス効果がありますが、運動にはカタルシス効果と、筋肉を動かすことで血流を良くして免疫力を上げる効果もあります。

運動による効果その3 継続することでセルフエスティーム「self-esteem自尊感情」を高める
Self-esteem自尊感情とは、「自分は価値のある存在」と感じられることです。例えば、1日腹筋20回など、スモールステップで良いので、継続して目標をクリアできることでセルフエスティームを高めることができます。運動した事を紙やスマホなどに記録するとモチベーションアップにも繋がりますので、ぜひ試してください。

在宅勤務で仕事をして肩が凝ったり、眼が疲れたりするときは適宜休憩をすることも大切です。休憩中にストレッチなどをしてもよいかもしれません。気温が上がってくると体内の熱もこもりやすくなるので、食事をきちんと摂り、屋外でも室内でも水分摂取をするようにしてくださいね。
いまから少しずつできる事に取り組んでいただき、また始まるオフィス通勤のために体を慣らしていってくださいね。

<参考>
スポーツ庁 新型コロナウイルス感染対策 スポーツ・運動の留意点と、運動事例について

加賀谷代里子(かがや・よりこ)
保健師・看護師・公認心理師・シニア産業カウンセラー

<< Vol.7「職場の先輩からの厳しい態度(コロナハラスメント?)」
Vol.9「睡眠がうまく取れない」>>

おすすめ記事

TOPへ戻る