こころのレシピ Vol.34 年上の後輩への接し方に困っています

2023年6月12日

東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第34回は、産業カウンセラー、ハラスメント社外相談窓口相談員、家事調停委員として活躍する石井徹さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:30代女性 Kさん】

半年ほど前に、私より10歳以上年上の男性Sさんが同じ部署に入社してきました。
Sさんは社会人経験はあるものの、ここでの仕事は初めてなので、私が業務説明等を行う教育担当になりました。
私が年下ということもあるのでしょうか、Sさんに業務説明をしても、半笑いのような態度でまともに聞いてくれず、とても嫌な気持ちになります。
Sさんは「会社とはそういうものだ」「社会とはそういうものだ」というのが口癖で、何事もSさんの経験で判断してしまい、私の説明やアドバイスは聞いてくれません。
気にしなければいいと思うのですが、一生懸命説明しているのに、馬鹿にされている気がしてとても悲しくなります。
また、Sさんは、仕事がうまくいかなかったり、忙しかったりするとイライラし、私に感情をぶつけてくることもあります。声も大きく、怒鳴られているようで、委縮してしまいます。
一方で上司の前では、まるで優等生のような発言をし、ご機嫌とりをするのです。人によって態度を変える姿を見たときは唖然としました。
Sさんとはこの先一緒に仕事をするのが苦痛でなりません。Sさんとうまく仕事を進めて行くにはどうしたらいいのでしょうか。

10歳以上も年上の男性、Sさんの教育担当となり、どうしてこんな人の教育担当にされてしまったのだろう、嫌だなぁ、というお気持ちが続いていらっしゃるのですね。

Sさんは上司の前では、Kさんと接している時とは別人のような優等生になり、ご機嫌とりをする姿にも唖然としてしまう。しかし残念ながら、他人であるSさんの言動を直ちに変えることは難しいと思います。

でもKさんの気持ちも大切にしましょう。Sさんから、大きな声で、怒鳴るように感情をぶつけられ、萎縮してしまう状態が続くと、いつか我慢できなくなり、Kさんが爆発してしまうかもしれない、と心配です。

悲しい、嫌な気持ちはすぐには消えないかもしれませんが、Sさんに対する考え方を変えることは出来ると思います。

少しずつ、Sさんに対し、ご自分の思うことを伝えてみませんか。

アイ(I)メッセージという、自分を主語にして、自分の感じたことや考えたことを伝えることを意識してみてはどうでしょう。「あなたのその態度は間違っていますよ。」というのは「あなた(You)メッセージ」です。この場合、相手は上から目線で命令されたような印象を持ちがちで、反発されやすくなります。代わりに「そうですか、そのようにお考えなのですね、私は違った考えを持っています。」と周りに同僚がいる場で、伝えてみませんか。SさんはこれまでのKさんの反応とは違うと感じるかもしれませんし、受け取りやすくなるのではないでしょうか。アイメッセージを使うと、自分の気持ちや考えを理解しやすくなります。その上で、同僚とSさんについて話してみたり、上司にご自身のお考えを伝えて、相談をしてはいかがでしょうか。

石井 徹(いしい・てつ)
産業カウンセラー、心理相談員、衛生管理者。長年、開発途上国への支援業務に従事し、38か国での業務経験がある。コンプライアンス、衛生委員会をも経験。現在はハラスメント社外相談窓口相談員、家庭裁判所で家事調停委員を務める。

 

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