「パラレルキャリアがもたらす自律促進」~月例研究会から~

2020年6月30日

6/19(金)夜、会員部主催の月例研究会を開催しました。

今回は「キャリア自律を促進するパラレルキャリアの人材育成効果」について、法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授にお話しいただきました。

新型コロナウイルスの感染予防により、オンラインツールを導入するなど私たちの働き方は大きく変化しています。しかし、石山教授は以前から変化しつつあった社会の変化が急激に加速していて、私たちは一生変化に対応する力や個人としてのスキルが求められているのだと指摘します。

石山教授は、チャールズ・ハンディの人生の4つのワーク(「有給ワーク」「家庭ワーク」「学習ワーク」、社会貢献などの「ギフトワーク」)を用いて、このうちの2つ以上の場に同時に属していることパラレルキャリアと定義しています。

自らが準拠する状況(ホーム)からその他の状況(アウェイ)に越境することにより、新たな気づきや客観的な見方ができるようになる。ホームとアウェイを行き来することで点と点が結び付き、相乗効果が生まれ、ホームでは経験できない多様性や曖昧さに触れ、自分の価値観や、得意・不得意を再認識する機会に恵まれるのです。

実際に、地方でパラレルキャリアを実践しているビジネスパーソンを取り上げ、具体的にどのように実践しているのかを紹介しながら、分かりやすく解説されました。

さらにパラレルキャリアには、第3の場所であるサードプレイスの存在も大きいのだといいます。職場や家庭とは違うサードプレイスは、フラットで居心地の良い空間であること。例えると地元の居酒屋のような場所ですが、特に石山教授が注目しているのは、目的があり自発的に行く場所なのだといいます。プロボノのように身につけた知識やスキルを使って楽しんで社会貢献をする、他にも読書会こども食堂など様々な活動が近年は増えており、神奈川県茅ケ崎の「チガラボ」や、身近な人同士のゆるいつながりをつくるコミュニティ「100人会議」は全国各地で開催されています。

越境すると、当たり前と思っていたことが通用しない世界に身を置くことになり、あらためて自分が何者でどんな価値観を持っていて、何をやりたくてそれを仕事でどう実現するかを考えることになります。このような経験から、自分の価値観と仕事を意味づけるジョブクラフティングに結びつき、キャリア自律を促進することにつながるのだといいます。

このジョブクラフティングについては、ディズニーランドで園内の清掃を担当するカストーディアルや、羽田空港で清掃のプロとして活躍された新津春子さんを例にあげ、説明していただきました。

最後に、組織におけるパラレルキャリアの課題についてグループ討議をおこない、課題点について率直な意見を皆さんと共有しました。

具体的な事例とユーモアを交えたお話はとても分かりやすく、充実した時間となりました。

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次回会員部主催「特別講演会のご案内」
「ピンチを切り抜けるパフォーマンス心理学」
―withコロナ、afterコロナでも伸びる人のコミュニケーション

日時:8月22日(土)13:30-16:30
講師:佐藤綾子先生
博士(パフォーマンス学・心理学)、ハリウッド大学院大学教授
社団法人パフォーマンス教育協会理事長 他

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