こころのレシピ Vol.20 管理職の仕事が重荷です。

2022年2月4日

東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第20回は、産業カウンセラー、公認心理師、1級キャリアコンサルティング技能士として活躍する竹安英治さんの登場です。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。

【ご相談:Nさん 34歳 男性 会社員】

技術系の部署で働いています。
希望の就職先だったこともあり、今まで与えられた仕事にやりがいをもって邁進してきました。そのせいか上司からの評価も高く、同期のなかでは一番に一年前に管理職となり現在の部署を任されることになりました。
しかし、部下10人を抱える所属長になってから、自分には管理職が向いてないと感じています。指導も評価も苦手で、それぞれの部下とどのように接すればよいか戸惑うばかりです。また、会議や書類関係など面倒な仕事も増え、苦痛です。

周りからは「誰だって最初はそうだ」とか「タイトルが人を作るからそのうち慣れる」などと言われるばかりです。

わがままと捉えられてしまい、管理職から外してもらいたい自分の気持ちを打ち明けられません。一人で作業をしていた時は、集中して楽しく仕事ができたのですが、今は会社に行くことさえ憂鬱です。上司に相談しても分かってはもらえず、限界です。

会社は辞めたくないのですが、このままの状態で仕事を続けるのは厳しいです。
どうしたらいいでしょうか。

(竹安)

ご相談、お受けいたしました。
つらいお気持ちを率直にお話しいただきありがとうございます。
これまでの技術職での頑張りが高く評価され、同期一番で管理職になり、10人の部下のマネジメントを任されるようになったこと、しかし今は所属長としての業務を重荷に感じ、会社に行くことまでが憂鬱に感じられている状況を理解いたしました。また周りの方に今の気持ちが届かず、一人で行きどころのない思いを抱えられている様子も伝わってきました。お話からNさんの職責への責任感の強さを感じています。この一年、慣れない状況でよく頑張ってこられましたね。そして今回は一歩踏み出してこの窓口へご相談いただきました。

技術系の仕事が好きで会社も辞めたくないとのこと。その思いをもとにこれからのことを考えていきましょう。考えるに当たり、現状を客観的に整理してみることをお勧めします。例えば重荷に感じている業務を箇条書きに書き出してみるのはどうでしょうか。

ところで、社会人一年生のときは、新入社員研修や技術者研修を受けられたことと思います。今回所属長の役割を任されるにあたり、管理職研修は受講されたでしょうか。ご相談の文面からはそのようには感じられませんでしたが…。技術職のスキルと管理職スキルは全く別物です。Nさんにとって管理職業務は一年生です。もし、研修なしに管理職をスタートしたのであればうまくいかないのは無理もありません。

また、Nさんが部下の指導や評価に苦手意識を持ち、管理職業務に戸惑いを感じていることを会社が把握できていない点も気になるところです。

解決にあたり、会社がNさんの現状を把握することが最初のステップと感じましたがいかがでしょうか。そのためには、まずはNさんから会社に今の状況を伝える必要がありますね。そして、その上で現状を乗り越えるために、改めて管理者研修を受けたいと率直に相談をされてみてはどうでしょうか。そのときに先に整理した資料が役に立つかもしれません。いまここで、もう一歩踏み出すことが今の状態を変えるきっかけになるのではと感じています。

ひとつの方策を検討してきました。もしそうではなくて、とにかく管理職から外れたいというお考えであれば、別の方法を一緒に検討いたしましょう。
いつでもお待ちしています。

竹安 英治(たけやす・えいじ)
産業カウンセラー、公認心理師、筆跡心理士、1級キャリアコンサルティング技能士
株式会社花絹 代表取締役 適性検査ASK著作

 

こころのレシピでは、みなさまからの質問や相談の投稿を募集しております。
産業カウンセラーとして、また個人で疑問に思うことやお悩みなど、心の専門家に聞いてみたいことをお寄せください。記事には個人が特定できないような形に変更した上で掲載させていただきます。
また、すべてのご質問に確実にお返事できるものではないことをあらかじめご了承ください。
宛先はこちら→ tyo-kouhou@counselor.or.jp
※件名に「こころのレシピ」投稿募集と記載をお願いします。

 

 

 

おすすめ記事

TOPへ戻る