東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第28回は、特定社会保険労務士、産業カウンセラーとして活躍する小山菜穂子さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
【ご相談:40代男性 Oさん】
趣味の仲間の、酒癖のことでご相談したいことがあります。 食事はほとんどせずに次々とグラスを空け、最後にはとうとう息子のような年齢の若手を相手にゲーム感覚で飲み比べをし、本人含め数人が嘔吐するような飲み方でした。後始末も大変でした。 独身で、日頃から鍛えているとはいえそれほど無理はできない年齢ですし、趣味を長く楽しむためにも、楽しいはずの酒で体を壊すようなことにはなってほしくない。若手に知らず知らずのうちに我慢を強いていないかも気になります。仲間として、静観する以外にないのでしょうか? |
気の合う仲間同士でのお酒は、話がはずんで、つい時間を忘れてしまったり、時に羽目を外してしまうこともありますね。同世代の仲間の一人が深酒をしてしまうとのこと。周りに迷惑をかけてしまうくらいの飲み方となると、あなたが心配で放っておけない気持ちになってしまうのも、もっともだと思いました。
◆息子のような年齢の若手を相手にゲーム感覚で飲み比べ
本人を含め、数人が嘔吐するような飲み方とのこと、とても心配です。もしかすると若者は年上の仲間から言われたら飲み比べをすることを断りづらいかもしれませんね。
◆アルコールハラスメント
アルコールハラスメントとは、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害を指します。特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)によると、アルハラを以下の5項目と定義しています。
1.飲酒の強要 上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むことです。 2.イッキ飲ませ 場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせることです。「イッキ飲み」とは一息で飲み干すことで、早飲みも「イッキ」と同じです。 3.意図的な酔いつぶし 酔いつぶすことを意図して、飲み会を行うことで、傷害行為にもあたります。ひどいケースでは吐くための袋やバケツ、「つぶれ部屋」を用意していることもあります。 4.飲めない人への配慮を欠くこと 本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかったり侮辱する、などです。 5.酔ったうえでの迷惑行為 酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為です。 |
必ずしも上司部下の関係だけではなく、飲まざるをえない状況に追い込んでしまうようなことがあるならば、アルコールハラスメントにあたるものとして、見過ごせないことだと思います。
◆深酒をするような飲み方が心配
仲間として静観する方がよいのか、でも、何かモヤモヤしてしまう思いが伝わってきます。
「親しき仲にも礼儀あり」。どんなに親密な間柄であっても、守るべき礼儀があるということ。
仲が良くとも、度が過ぎて礼を失するようなことがあってはいけないという戒めの言葉ですね。度が過ぎた振る舞いによって、大事な趣味の仲間が不和となってしまってしまうのは残念なことです。
趣味の仲間とこれからも長く楽しく付き合っていけるように、同年代の仲間だからこそ、あなたから助言してあげることも一つの方法かもしれませんね。
小山 菜穂子(こやま・なほこ) 特定社会保険労務士、産業カウンセラー。開業社会保険労務士として、顧問先の労務相談、社員面談に従事するかたわら、SNSカウンセリング業務にも携わっている。 |
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