からだの声にこころを傾けて ~【愁訴】~

2022年9月9日

皆さんはご自身のからだの声、きいていますか?

今年は久々に行動制限のない夏休みでしたが、そろそろ秋の足音が聞こえてくる頃ですね。
そんな「秋」という漢字が入っている言葉【愁訴】をご存じでしょうか?
広辞苑によると「悲しみや苦しみを嘆き訴えること。またその訴え。」(広辞苑第七版 岩波書店)と記載されています。
漢字の構成は“秋に心が訴えること”とも読み取れます。それは悲しみや苦しみなのでしょうか・・・。

多くの人は、秋に対して、寂しさや悲しさを感じるようで、日本でも古くから歌にも歌われています。

寂しさに 宿を立ち出でて 眺むれば いづこも同じ 秋の夕暮れ
良暹法師(りょうせんほうし)

奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋はかなしき
猿丸太夫(さるまるだゆう)

秋になると物悲しさを感じたり、なんとなく憂鬱さを感じたりします。
古くから感じられてきた感覚的なものが、現在ではさまざまな要因によるものと分析されてきています。

・活動的で刺激的な夏の終わりを感じるから
・酷暑を乗り越えようと頑張っていた身体の疲労がでてくるから
・夏至を過ぎると日照時間が減少していくから
・気温が下がってくると体温保存の為に、動物は仲間と肌を寄せ合おうとする本能があるから

など、上記の理由の中には、気分的に物悲しさを感じることもあれば、脳の機能によって憂鬱な気分になるものもあります。
また、涼しくなってきたから暑くてできなかった事をしようと、急に活動的になると体力がついていかなかったり、自律神経の切り替えがうまくいかなかったりと、余計に疲れてしまうなんてこともありますね。

このような時期には今まで以上に、ご自身のからだの声をききながら、今の自分の状態を知り、ケアをしていくことが大切です。

【身体的な愁訴】といわれるものには、頭が痛い、いらいらする、身体が重い、首の痛み、肩の痛み、めまい、頭痛、吐き気、胸の痛みなどさまざまです。何らかの体調が悪いという自覚症状があるものの、明確な病変が見つからない状態で、医学的には【不定愁訴】と呼ばれ、周りの人からの理解が得にくいこともあります。

「このくらいなら」とか「秋だから」とかと、軽く見ているとつらい状態が長引いたり、思いもよらない病気が隠れていたりするかもしれません。
夏が終わったあとの秋から冬にかけては、メンタルヘルス的にも特に気を付けたい時期でもありますので、ご自身の身体や行動、気分に出るサイン、からだの声にこころを傾けてみてください。

ちょうど秋には、毎年10月1日から7日まで【全国労働衛生週間】が実施されます。
~~【全国労働衛生週間】とは~~
「働く人の健康の確保・増進を図り、快適に働くことができる職場づくりに取り組む週間」
事業場における労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとする。(厚生労働省、中央労働災害防止協会)
<参考>https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26899.html

令和4年度のスローガンは
「あなたの健康があってこそ 笑顔があふれる健康職場」
ぜひ、皆さんもこの機に、健康に関しての知識を深めたり、周りの方への声かけなど意識的に行ってみましょう。

ご自身の健康についてケアを行うことは、周りの方へのやさしさです。

皆さん、お一人一人は、大切なかけがいのない存在です。
「自分自身のため」だけではなく、「大切な誰かのため」にも、ご自身の健康を大切にしてください。

秋は、季節の移り変わりの景色も美しく、過ごしやすく、楽しい時期でもあります。
皆さんも、笑顔で季節を楽しんでください。

 

<文>
手﨑 美和(てさき・みわ)
一般社団法人日本産業カウンセラー協会シニア産業カウンセラー
登録講師・産業カウンセラー養成講座実技指導者
ハラスメント防止コンサルタント
人事労務コンサルタント・カウンセラー・ヒプノセラピストを経て、現在は企業にて活躍中

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