東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第25回は、看護師・産業カウンセラーとして活躍する一色美佳さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
【ご相談:30代 Tさん】
会社の総務部門で事務職として働いています。 後輩は前職で総務の経験があるので、仕事に対する理解があることを前提に教えていたのですが、なかなか教えた通りに業務を遂行してくれず、悩ましい毎日を送っています。 先日も、明日やって欲しい業務を丁寧に教えたつもりですが、翌日には「それは聞いていません」「資料がどこにあるかわかりません」とキレ気味で言われてしまいました。 日々のルーチンワークもミスが多く、指摘すると明らかに機嫌が悪くなるので、指摘することも嫌になってきました。 最近は後輩に仕事を教えることが苦痛です。毎日憂鬱で、会社に行くのもしんどくなってきました。後輩にどう接すればいいのかわかりません。 |
Tさんは、Nさんのことで、毎日憂鬱で、会社にいくのもしんどくなってきたのですね。
Nさんとの、コミュニケーションにも問題がありそうですが、まずは、Tさんが、病気になっていないかを確認することが第一優先かと思います。
Tさんの場合、2週間以上、憂鬱な気分が続くようであれば、抑うつ状態や適応障害の可能性もあるので、睡眠状態が悪いようであれば、専門医受診をお勧めしたいです。睡眠状態とメンタル疾患は深く関わりがあります。
この状態が続くと、本格的に適応障害やうつ病になってしまう可能性もありますので、有給等で仕事から離れてリフレッシュするのも有効です。
コミュニケーションの問題については、いくつかのパターンが考えられます。
① 後輩のNさん自身、ルーチンワークにミスも多いようなので、抑うつ状態や適応障害かもしれません。ごく一部の転職者のなかには、前職で、メンタル疾患などで退職した方もいます。その場合、転職して新しい環境に慣れるのはエネルギーを使い大変なことですので、再発しやすくなります。
② Tさんは、Nさんが前職で総務経験がおありなので、それを前提に指導をしていたということですが、そのあたりにボタンの掛け違いがあったのかもしれません。Nさんの方も、分からなければ分からないと言えばよいのですが、攻撃的な言動が見られます。攻撃は最大の防御といいます。抑うつ状態でも、攻撃的な言動がみられることがありますが、何か(キャリア不足など)を防御しているのかもしれません。
③ Nさんは、ミスを指摘されると明らかに機嫌が悪くなったり、言葉ではなく感情で表現するところがありますね。社会人としてのコミュニケーションスキルに問題があるのかもしれません。
④ 交流分析で言うところの「自我状態」が相容れないタイプなのかもしれませんね。
いずれにしても、Tさんがひとりで抱えないようにすること、Nさんの話をよく聴くようにして、適したところ(専門医やカウンセラー、上司、人事部など)につなぐようにしましょう。
一色美佳(いっしき・みか) 看護師・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・公認心理師 看護師として約7年間、急性期病院でキャリアを積み、子育て期は、複数の企業で産業看護師として約13年間勤務しました。現在は、大学の保健室で学生の健康相談をしています。 |
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