明日からできるソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向アプローチ)で支援の幅を広げよう! 連載②

2023年12月4日

ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向アプローチ)の活用ステップを知ろう!

 

産業カウンセラーとして、職場環境の改善や人材育成に関わる中で、現在の問題や課題を解決しようとする際に、「原因」の探求に焦点を当てすぎて多くの時間を費やしてしまったと感じたことはありませんか。
ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向アプローチ)は、「原因」に焦点を当てるのではなく、「解決」に焦点を当てて問題の解決を考えていく手法です。
ソリューション・フォーカスト・アプローチを実践されている原美聖先生に、メリットや明日から活用できるコツについて、2回にわたりお話を伺いました。
「明日からできるソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向アプローチ)で支援の幅を広げよう! 連載①」も合わせてお読みください。

 

ソリューション・フォーカスト・アプローチの活用ステップ

―― ソリューション・フォーカスト・アプローチを活用する場合、どのようなステップが必要か教えてください。

次の5つのステップを進めていきます。詳しくは講座の中でお伝えいたしますが、「3つのルールと4つの発想」を踏まえて進めることが大切です。

~5つのステップ~

(1)プラットフォーム:現状の問題を踏まえて、解決に向かうためにどのような方向性をとるか、優先順位づけを行うのかを決める
(2)パーフェクトフューチャー:解決した最終ゴールとして完全未来像を描く
(3)スケーリング:最終ゴールに向かって、現在はどの地点にいるのかを測定して数値化する
(4)リソース:最終ゴールに向かうために使う、すでに持っている資源に目を向ける/上手くいったこともあるのでは? という視点で資源を探す
(5)スモールステップ:スケーリングした地点から一つ進めるための実現可能で具体的な行動を、主体的に決める

―― このアプローチを活用した部下の上手な褒め方、𠮟り方のヒントや、コミュニケーションを円滑に進めるためのコツを教えてください。

最近は、部下を褒めましょうということがよく言われているようですが、褒めることをスタートにして、とにかく褒めることより、その人に関心を持って、いかに信頼関係を築けるかというところが大切だと思います。組織にいるということは共通言語はまず業務です。業務の話をしっかりすることで部下との信頼関係を築きやすくなります。
一方、上司がどれほど日ごろのコミュニケーションや見守りをしていると思っていても、そのメッセージが相手に届いていなければ信頼関係は築けないと思います。部下にまず関心を持ち、業務の話をする中で、どのような視点で見ているか、見守っているか、どのような期待をかけているか、今後どのように成長してほしいかなどをきちんと伝えていく。そうすることで、叱られても納得ができるようになることや、プライベートの会話がしやすくなることにつながり、さらに信頼関係が築かれていくと思います。

―― ソリューション・フォーカスト・アプローチを用いた事例について教えてください。

組織を対象にするときは、組織改善働き方改革企業風土再構築にも使えます。また、個人を対象にするときは、部下の育成や指導のほかに、驚かれるかもしれませんが、ハラスメントの行為者面談にも使えます。いずれも、相手の方に敬意を持って関わりすでにできているのはどんなことか、そして、最終的にどのようになっていたいのかという発想で臨みます。

講座のお薦めポイントは

―― どのような問題を抱えている方が受講すると効果的でしょうか。

講座では、手法を学ぶだけではなく、受講者にお持ちいただくご自身の事例を解決することを考えていただきますので、すぐに実践に役立てたい方には効果的だと思います。

―― この講座のお薦めポイントを教えてください。

主に、次の3つのポイントがあると思います。

(1)ご自身の事例をお持ちいただき取り組むことで、5つのステップなどの手法の理解が進み、具体的に実現可能なアクションプランを立てやすくなると思います。
(2)グループ討議を通じて、他の受講者が上手くいっていることや、ご自身に対するフィードバックがもらえることで、新たな視点に気づきやすくなると思います。
(3)産業カウンセラーとして、ソリューション・フォーカスト・アプローチだけでやりましょうということではなくて、すでに身につけている解決手法と併せて折衷的な関わり力を広げることができると思います。

研修イメージ(実際の研修とは異なります)

職場で産業カウンセラーのスキルを活かすには

―― 「産業カウンセラー資格を職場でどう活かせばよいのか」について、原先生からアドバイスがありましたらお願いいたします。

産業カウンセラー養成講座の受講前と受講後のご自身を比べてみていただきたいと思います。おそらく、多くの知識、スキルが身についたと思います。特に傾聴のスキルは格段に向上していると思います。まずは、職場の身近な方との会話の中でも傾聴のスキルを使うことはできると思いますし、その関わりによって相手の心が軽くなることにつながるとしたら、それはもう十分に資格を活かしているといってもいいのではないでしょうか。また、ご自身のおかれた立場で傾聴のスキルを実践する中で、さまざまな経験を積むことが、産業カウンセラーとしての自信になったり、やがて独り立ちすることにもつながるのではないかと思います。働く人々の支援を一緒にできる方が一人でも多く増えることを期待しています。

~取材を終えて~

原先生の取材を通じ、ソリューション・フォーカスト・アプローチの活用を意識して相談に臨むことで、解決までのスピードを速められる可能性を強く感じました。また、相談の内容が仕事のことでも、家庭のことでも活用できるアプローチであることは新たな発見でした。
相談を行う上で、改めて学び、身につけておきたいスキルの一つであると感じるとともに、産業カウンセラーの皆様に受講をお薦めいたします。

 

原 美聖先生の講座のご案内

ソリューション・フォーカスト・アプローチを使った職場環境改善と人材育成

2024年1月27日(土)  10:00~16:00
【開催場所】代々木教室

お申込みはこちら↓
https://www.counselor-tokyo.jp/course/20240127b-044

 

原 美聖(はら・みさと)

株式会社オフィシア 代表取締役(シニア産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、公認心理師)
大学卒業後、JPモルガンにて、総務部、資金為替部、グローバルマーケット部に勤務。その後、株式会社オフィシアを創業。官公庁、金融機関、一般企業を対象に人事コンサルティング、研修、キャリアコンサルティング、カウンセリングなどの業務を行う。これまでの研修受講者は累計61,000人 (2023年9月現在)。
東京家庭裁判所非常勤職員 (人訴事件担当参与員)。東京都若者相談 [若ナビ] 元事業責任者。

執筆・監修
『通信講座テキスト』(近代セールス社:金融機関向け出版社)
・「職場のハラスメント対策実践講座」
・動画で学ぶ「アンコンシャスバイアスによるハラスメント」
『近代セールス』(近代セールス社:金融機関向け出版社)
・「若手の能力をグッと伸ばす上手な褒め方・叱り方」
『銀行実務』(銀行研修社)
・特集「職場における心理的安全性 ~若手社員の離職防止~」

取材/末吉健一・初鹿野愛子 文/末吉健一 校正/脇田直子・古満美千子・河内泰子 写真/初鹿野愛子

 

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