新年度になって約1か月が経ちました。
ゴールデンウィークも終わり、あなたは「いよいよ本格始動だ!」とエンジン全開モードでしょうか?それとも、「あ~ゴールデンウィーク終わっちゃったなぁ。仕事が憂うつ・・・」「理由はわからないけど、なんだか調子が出ないなぁ~」とモヤモヤモードでしょうか?モードは人それぞれかもしれませんが、長い休みによる生活リズムの変化が懸念されます。
ストレスは<変化>と<たし算>
「変化」というものは、適応するためにエネルギーを使うので、ストレスとして感じやすいです。例えば、環境が変わると、慣れるまで緊張する場面は多いですよね。新しい仕事や役割、人間関係などは、私たちは比較的気づきやすい「ストレス」として捉えることができます。仕事以外の「変化」としては、引っ越しで通勤や生活スタイルが変わる、出産などで家族が増える、自分ではなくても家族の変化などがあります。GWなどの長期休暇も、私たちの身体は「変化」として捉えます。楽しいことや「おめでとう」と言われるハッピーなことでも、「変化」であれば知らず知らずのうちにストレスがかかっているのです。
実は、ストレスは「たし算」なのです。ストレスが一定期間かかり続けたり、一つひとつの出来事は小さくてもそれが重なってくると、私たちの心身に「ストレス」が蓄積されていきます。そのストレスを放っておくと、いろいろな不調が私たちの身体に表れてきます。
実際に、私がカウンセリングでお話を聴く場面では、転職などしていなくても変化をたくさん経験している方が多いです。
「そういえば、転勤して、上司も部下も変わって、子どもの保育園も変わって・・・。ひとつひとつはたいしたことないけど、こんなにたくさんのことを自分は対応していたんですね。そりゃ疲れるわけですよね。」と、気づかれる場面があります。
SOSのサイン
私たちがストレスに対処するには、まず自分自身が「ストレスがかかっているよ!」と教えてくれているサインに早く気づくことがとても大切です。これをメンタルヘルスでは「ストレス反応」といい、主に下記のようなサインがあります。
【体のサイン】肩こり、頭痛、肌荒れ、だるさ、胃痛、下痢、食欲不振、眠れない など 【心のサイン】不安、焦り、イライラ、くよくよ、緊張しすぎる、集中力がなくなる など 【行動のサイン】生活の乱れ(服装・遅刻・早退・欠勤)、暴飲暴食、人とのトラブルが増える など |
体のサインは自分で気づきやすく、心のサインや行動のサインは周りにいる人の方が気づきやすいです。自分だけでなく、同僚や部下の「いつもと違う」に早く気づくことで、メンタルダウンを未然に防ぐことができます。
ストレス対処のポイントは「早く気づいて早く出す」
一度メンタル不調になると、ご本人だけでなく職場の周りの人やご家族も、そこからの復活がとても大変です。だからこそ、メンタルヘルス対策は「未然に防ぐ」ことがとても重要なのです。
そのためのポイントは「早く気づいて早く出す」こと。
自分がリラックスできること・楽しいと思えることを、ちょっとしたことでいいので、出来るだけ多く持っておきましょう。例えば、大事なプレゼンの後はおいしいコーヒーを飲む、とても忙しかった一日の最後はゆっくり湯船につかる、「どうも疲れが抜けないな」と思う時には、あえてベッドに早く入る・・・などです。リスト化しておくと、すぐに実行できるのでおすすめします。ただし、お酒・たばこ・ゲームは依存性があるので、ほどほどにしましょう。
ポイントは「まだ大丈夫」と思う段階で、ストレスを溜めずに出すことです。
また、「相談」はとても効果の高いストレス対処法です。『相談相手の多い人はストレスに強い』とも言われています。職場で、お互いに相談できる環境を作ることは、ストレス対処だけでなく、ハラスメントの予防、パフォーマンスの発揮にも影響があります。
「悩む」前の、「ちょっと気になる」「困ったことがある」段階でお互いにコミュニケーションを取ることは、ストレスも少なくなり、従業員が働きやすい職場づくりの不可欠な要素ともいえるでしょう。
メンタルヘルス対策は、従業員全員が知っておくとよい「セルフケア(自分で自分のストレス対処を知る)」と、管理職が部下のマネジメントをする際に必須である「ラインケア(部下の不調に早く気づき早く対処する)」があります。
人生100年時代と言われ、私たちが働く期間もグッと長くなりました。そのためには、身体も心も人間関係も、健康を保つ必要があります。
メンタルヘルス対策は、個人だけでなく、組織で「経営戦略」として取り組んでいくことをお勧めします。
<文>
野村 式栄(のむら・のりえ)
一般社団法人日本産業カウンセラー協会産業カウンセラー、公認心理師(国家資格)、2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)
現在は当協会にて登録講師、契約企業にて、コンサルタント・カウンセラーとして活躍している。
【著書】
『人生の「快適」解をつかむ!3つの習慣~テレワーク時代のセルフマネジメント術~』(ごきげんビジネス出版ブランディング)
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