特性を生かした働き方を目指して

2024年5月2日

~本記事は、当協会の相談室契約企業様に3か月に1度、お届けしている「メンタルヘルス 春夏秋冬」に掲載した内容です~

春は始まりの季節ですね。心機一転、初めての現場で活動なさる方もいらっしゃると思います。
新しい環境を前にすると、どなたであっても身構えてしまって、無意識のうちについ力んで緊張してしまうものです。驚きや発見、喜びもある一方、失敗やつまずきも出てきて、戸惑う時期でもあります。

入社2年目のAさんは教育期間を終え、いくつかの案件を任されることになりました。電話を取りながらのメモがうまくできず、またデータ作成で数字のミスを繰り返してしまいました。システム業務を行っていたBさんは自ら希望して営業に異動しましたが、顧客との雑談が苦手で、それをどう上司に相談したらいいか分からず苦しんでいました。二人ともなぜうまくできないのかわからず、努力が足りないからだと自分を責め、とうとう出社できなくなりました。

Aさん、Bさん、それぞれに相談室を訪れたお二人には、医療受診を勧め、発達検査を受けてもらったところ、Aさんは発達障害のADHD (注意欠陥・多動性障害)、BさんはASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けました。二人は(自分のせいではなかったんだ)とほっとし、今は二人とも自分のペースで業務を行っています。ADHDのAさんは服薬治療により業務に集中できるようになり、また発想の豊かさを生かして新しいアイデアを提案したりしています。Bさんはマーケティングの仕事を任され、元来の拘りの強さを生かして業績の分析を行っています。

発達障害とは脳機能の発達に関係している持って生まれた特性と言われています。言い換えるなら個性的な脳の持ち主であり、優れた能力が発揮されることもあります。新しい環境に身を置くことには苦労や緊張もありますが、今まで知らなかった自分に気づき成長する機会になることも少なくありません。ゆえに自分の特性を生かした働き方は、さらにみなさんの活躍の場を広げてくれるはずです。

大切なのは、ご自分の不調を早めに察知することです。眠れない、食欲がない、また過食してしまう、出社したくない、なども大事なサインです。ご本人が言い出せないことも多いので、そんな時は、ご本人だけでなくぜひ周囲の方も、お一人で抱え込まずにぜひ相談室を利用してみてください。

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<文>
添田 ひろ美(そえだ・ひろみ)
シニア産業カウンセラー、臨床心理士、公認心理師、2級キャリアコンサルティング技能士、カウンセリング心理士
相談室カウンセラー、学生相談室、自殺相談、女性相談も兼務。非言語を用いた心理支援も行なっている。

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