東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第18回は、シニア産業カウンセラー、2級キャリアコンサルタント技能士として官公庁・企業・大学等でカウンセリング、キャリアコンサルティング、研修講師として活躍する内海仲子さんの登場です。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
【ご相談:Kさん 30歳 女性】
IT関係の会社で働いています。大学では福祉関係を学び、生涯学習を企画、運営するサークルに所属していました。卒業後は病院で介護の仕事に就きましたが、深夜の勤務も多く労働条件が極端に悪かったので退職しました。 正社員であることを条件に仕事を探して現在のIT関係の職を得ました。転職してから5年が過ぎ、今後を考えるとスキルアップが望める会社ではないことと、給料が低く、今後も大幅なアップが見込めません。転職を考え事務系の仕事を探していますが、経験がなく30歳という年齢もあり、またコロナの状況下で中々見つかりません。転職の情報はネットで探しています。 事務系の中でも、経理関係の事務は給料もよいと聞きました。経験がなくても転職はできるのでしょうか。経理関連の資格取得も目指そうと思っています。 |
(内海)
ご相談をありがとうございます。病院で介護のお仕事をされ、現在の会社では5年間正社員として頑張っておられるのですね。今の会社ではスキルアップが望めそうにないというお言葉から、Kさんはきっと向上心の高い方なのだろうとお察ししました。
事務系へ転職を考えておられるということですので、ここでは未経験の事務職に就くために3つの観点からお答えしたいと思います。
①スキル(できることを知る)
ビジネススキルに「ポータブルスキル」という言葉があります。会社や仕事が変わっても通用する「持ち運びのできる能力」のことを言います。
Kさんは介護のお仕事経験から、どんなスキルを身につけられたでしょうか。私の想像ですが、コミュニケーション力や対応力、スピード力などを身につけられたのではないでしょうか。もしかすると事務系のスキルはないと考えておられるかもしれませんが、これらは事務職でも必要とされるスキルです。今まで経験された業務を書き出して、次のお仕事で使えるポータブルスキルを整理してみてはいかがでしょうか。きっと、たくさん見つかると思います。
②興味(やりたいことを知る)
Kさんは大学で福祉を学ばれたあと病院勤務に就かれたのですね。大学や仕事を選ぶ際には、介護への興味や人の役に立ちたいという思いがおありだったのではないでしょうか。働いている中で楽しいと感じたりやりがいを感じるのは、どんなときだったでしょうか。やりたくないことって長く続けるのは難しいですよね。お給料も大事ですが、興味を持って働くことも大事なことだと思います。これから探すときには、興味の観点からも探していくとよいかもしれないですね。
③行動(探す方法を知る)
Kさんは転職情報をネットで探しておられるのですね。インターネットで職業情報提供サイト(日本版O-NET)と入力すると、職業を詳しく調べられるのはご存知でしょうか。仕事について様々な切り口から探していくことができますので、仕事のイメージがしやすくなると思います。
また、Kさんの身近な方で事務職に就いておられる方はいらっしゃいませんか。実際にその仕事をしている方に聞くという方法もありますね。
なお、経理関係の仕事は給料がよいかといえば、残念ながら必ずしもそうとは言いきれません。業種や会社によって賃金には違いがあるからです。年齢や資格、未経験での転職が可能かどうかについても、やはり会社によって違いがあります。実際にハローワークや人材会社のキャリアコンサルタントに相談すれば、アドバイスを受けながら一緒に進めていけますので不安が軽減できるかもしれませんね。
Kさんが現在どのようなお仕事をされているのかわかりませんが、今まで頑張ってこられた経験や身につけられたスキルは、すべてKさんの財産となっているはずです。Kさんが今後ステップアップを実感されながら、納得のいくキャリアを歩んでいかれますよう応援しています。
内海仲子(うつみ・なかこ) シニア産業カウンセラー、2級キャリアコンサルタント技能士 東京支部相談室カウンセラー、キャリアコンサルタント養成講習登録講師、 官公庁・企業・大学等で、カウンセリング・キャリアコンサルティング・研修を担当している。 |
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