自分から「変わろう」という能動的な意識~変化の春を楽しむ~

2023年3月3日

2023年春、元号が平成から令和に変わり5年目でもありますね、皆さんはいかがお過ごしですか?

春というのは、新年度を迎える企業組織も多く、ご自身の人事異動により職種・職場・職位が変わる方、新たな会社に転職・再就職される方、生活環境や学びの環境が変わる方など、さまざまな変化に向き合うことが多い季節でもあります。また2020年から私たちの働き方や暮らし方を大きく変えた新型コロナウイルス感染症への対応も、5月からは法律的な位置づけや名称も変わることが報道されています。
皆さんはこうした「変化」をどのように受け止めていらっしゃいますか?

さまざまな「変化」をポジティブに捉え、前向きに元気はつらつとしている方もいらっしゃれば、少しネガティブに捉えてしまい、心や身体に変調をきたしてしまう方もいらっしゃいます。私たちの心理的反応としては当たり前に起こることで、どちらが良い悪いではありません。しかし、できればポジティブに心身ともに健康で過ごしたいものですよね。その違いは何でしょう?

私たちは「変化」に直面した時に、突然起きた出来事、予期せぬ困難、未経験への不安、などとネガティブな気持ち(感情や思いなど)に支配されることが多いからかもしれません。そして「変化を強いられた」、仕事のスタイルや生活のパターンなどさまざまな「変化を要求された」、「変わらなくては…という強迫感」と感じることもあります。たとえ自ら望んだ転職や転居であっても、そこから生まれる現実的な「変化」は、想定外であったり、今の自分の能力では難しさを感じたりすることも少なくありません。

個人だけでなく、企業組織でも新たな事業年度を迎え、職制改正や人事異動、新入社員の受け入れなど、「変化」に対応するためバタバタされることでしょう。

では、こうした「変化」につきまとうネガティブな感覚にどう対処したらよいのでしょうか?まずは「自分の中にはちょっとネガティブな受け止めがあるのだな」と、ありのままを受け止めてみてもよいでしょう。そして可能なら次のステップとして「変化」を受動的に捉えず、自ら「変わろう」という能動的な意識が持てるとよいですね。メンタルヘルスのセルフケア研修やストレスコーピングセミナーなどでもよく言われることですが、要はネガティブな受け止め(マイナス思考)からポジティブな受け止め(プラス思考)へ変えることが効果的です。

皆さんの中には「ポジティブな受け止めやプラス思考ができれば苦労しない」と、おっしゃる方もいるかもしれませんが、そもそもこうした感じ方そのものが、すでに受動的で「やらされ感」満載なのかもしれません。
決して無理することはありません、できることから…、できそうなことから…、試してみようかな?と思ったことから…、能動的に「変わろう」とチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
まずセルフケア的な考え方としては、身の回りの出来事を次のように受け止められるように「練習する=良いクセをつける」ことをしてみましょう。

例としてですが…

〇転勤で引っ越すことになった、子どもの教育(親の介護)もあるし単身赴任するしかない・・・
→急に引っ越すことになったけど、新天地で新しい経験ができるしライフスタイルにも刺激が生まれる

〇クライアントが激怒している、どうしていいかわからない・・・
→クライアントに真摯に向き合うことで信頼が得られ、今まで以上の関係性になるチャンスかもしれない

〇部下に不満があるわけじゃないけど満足しているわけでもない、このまま様子を見るか・・・
→可もなく不可もない部下なら、変化を期待してアクティブに指導することで未知の能力を引き出せるかもしれない

〇やってみたいことはあるがこの年からじゃ遅い気がする「夢見がち」と人から、ばかにされそう・・・
→やってみたいことを実行したら充実と成長を味わえるし、次のステップへの挑戦や自信がついてくるかもしれない、学び直しのチャンスだな

このような感じで、無理せずに変化を楽しむのもひとつの対処方法です。いかがでしょうか?

そして個人としての対応だけではなく、企業の人事・総務・人材育成・産業保健などのご担当の方には、ぜひ従業員の皆さんがあらゆる環境変化に柔軟に対応し、能動的に「変わろう」と意識できるようなサポート、教育研修などを実施されることもお勧めします。例えば私ども日本産業カウンセラー協会東京支部でも以下のような研修サービスをご用意しています。

・強みやレジリエンスなど人のポジティブな面に焦点を当てるポジティブ心理学
・解決志向に役立つブリーフセラピー
・人間関係の構築(素早くラポールを築く)に役立つ気質理論の学び
・コミュニケーションを豊かにする「傾聴力向上」「アサーティブ・コミュニケーション」など
  ※個人の学びとして(東京支部Webサイトから研修部へお問い合わせください
      企業組織で教育研修への導入(普及事業部 事業推進担当へお問い合わせください

企業組織にとって、変化に柔軟に対応できるポジティブな人材が増えることは、経営環境や市場環境の変化にスピーディーな対応ができる「タフな組織」を運営できるという大きなメリットがあります。働く「人」も「組織」も、自ら変わろうという能動的な意識を持ち、変化を楽しむことができる…、とてもすてきなことだと思いませんか?

爽やかで、心地良い、風が吹く春だからこそ「変化を楽しむ」、そんな毎日を皆さんがお過ごしになれることを願っています。

<文>
杉本 博一(すぎもと・ひろかず)
一般社団法人日本産業カウンセラー協会 産業カウンセラー・心の健康アドバイザー・登録講師・産業カウンセラー養成講座実技指導者、 ドマーニメンタルヘルスオフィス 代表
化学系メーカーの人事・産業保健部門で心理職としての勤務を経て、現在は産業保健全般のコンサルティング・産業看護職の指導・研修講師・企業契約カウンセラーとして活躍している。

 

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