東京支部では、日常生活や仕事の中のストレスや苦難を乗り越えるための知識や工夫を産業カウンセラーの立場からお答えし、ブログで紹介することで、少しでも皆さんのお役に立てればと考えます。
第32回は、産業カウンセラー・心の健康アドバイザー・産業保健コンサルタントとして活躍する杉本 博一さんです。ぜひご一読いただければと思います。
※相談内容・相談者は、実際に寄せられている内容を加工・編集しており、実際の相談内容をそのまま掲載したものではございません。
労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が施行され、各企業ともハラスメント防止対策に積極的に取り組んでいます。
Nさんも企業の管理職として部下の指導・教育にあたっては、今まで以上に言動に注意を払い大変ご苦労されている様子が伝わってきます。しかし部下のために必要だと思う指導・教育もハラスメントにならないかを意識し過ぎ、うまくできずにいる自分自身にモヤモヤして、ストレスが溜まっていらっしゃるようですね。
多くの企業でも「部下からパワハラだと訴えられるのでは…」という恐怖のため管理職が萎縮・躊躇して困っているという話を多く聞きます。
まずはNさん自身が考え過ぎてストレスを溜め込みメンタルヘルス不調にならないよう、上手に休息し、仕事とプライベートの切替えやセルフケアをしましょう。部下の指導方法で悩んだ時には1人で抱えず、上司や他部門の管理職仲間に相談してアドバイスを得るのもよいでしょう。うまく指導・教育できている「成功事例を真似する」ことも効果的な対処法です。
そして、部下との接し方についてもお困りとのこと。どこまでが指導、どこからがパワハラになるのか判断が難しい、いわゆるグレーゾーンが管理職の皆さんを悩ませています。この問題の解決策は「グレーゾーンを作らない」こと、つまり人それぞれ感じ方・考え方・価値観が違うことを理解し、相手を尊重することです。部下と管理職とでは白か黒か見え方や判断基準は違うのです。互いの違い=ズレを理解しグレーをなくしましょう。
もう一つ大切なことは部下との信頼関係・人間関係を良好に保つことです。多少厳しい指導・教育でも信頼できる上司であれば、ハラスメントではなく自分のための指導と感じられ、グレー(パワハラかどうか)ではなく白(指導・教育)だと納得できます。
良好な信頼関係・人間関係を構築するためには、①部下の話をしっかり傾聴する、②感情的に怒らず教育的に叱る、③適当に煽てず事実を正しく褒める、などを意識して部下と接してみましょう。すべてを一気に解決しようとせず、以下のWebサイトも参考にしながら、できることから一つずつ試してみてください。
◆メンタルヘルスセルフケアについては「こころの耳」 (厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/
◆ハラスメント防止関する総合的な情報は「あかるい職場応援団」 (厚生労働省)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
杉本 博一(すぎもと・ひろかず) 産業カウンセラー・心の健康アドバイザー・産業保健コンサルタント 専門分野は職場のメンタルヘルス対策、ハラスメント防止、コミュニケーション 働く人のカウンセリング、官公庁・民間企業などで研修講師も多数務める |
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