子育ては楽しいけれど悩みもたくさん。コロナ禍でさらに大変と感じているパパ、ママも多いのではないでしょうか。よりよい子育てのための知恵を、アドラー心理学の専門家である小島まり子先生に2回にわたってご執筆いただきます。連載①「子育ての目標と勇気づけの対応」(東京支部ブログに公開中)も合わせてお読みください。 |
勇気づけは「共感」「尊敬」「信頼」「感謝」の心を大切にします
連載①「子育ての目標と勇気づけの対応」でお伝えしたように、日常の中で子どもに勇気づけの言葉がけをすることで、自己肯定感が上がっていくでしょう。
しかし、いくら言葉がけをしても、親の心と言動が違っていたら、子どもに伝わりません。
アドラー心理学のエッセンスを用いた子育ては、「共感」「尊敬」「信頼」「感謝」をもって接することで成立します。
「共感」… | 子どもの興味に興味を持つ 子どもの目で見る 子どもの耳で聴く 子どもの心で感じる |
誰かに話を聴いてもらった時にアドバイスを受けなくてもスッキリした経験が、一度はあると思います。
子どもも同じです。子どもの話を共感しながら聴くと子どもは自分のことに興味を持ってくれていると思うでしょう。
また、子どもが興味を持っている事も同じように、子どもの心に寄り添い観察してみましょう。
「尊敬」… | 子どもを縦の関係ではなく横の関係として見る |
生きている年月は違いますが、人間としての存在価値はどちらも同じです。
親子関係は横の関係です。お互いに尊敬し合える存在になってこそ、子どもは本当の意味で「親は仲間だ」と感じます。
「信頼」… | 無条件に子どもを信じる |
目の前の子どもがどんな状況でも信じ続けることです。目に見える結果を根拠に子どもを信じるのでは、本当の信頼になりません。
信頼は決意と忍耐が必要になるかもしれませんが、遠い将来を見据えて見守っていきます。
「感謝」… | 子どもに感謝を伝える |
当たり前のことはありません。機会がある度に子どもに感謝を伝えましょう。
内容を問わず「話してくれてありがとう」「協力してくれてありがとう」などと伝えましょう。
まとめ
例として次のようなことを考えてみてください。
靴を自分で履きたがっている子どもに対して、いつも失敗しているから親が自分で履かせた方が早いと思っていても、子どもを信じて、子どもの「自分で履きたい」という気持ちに共感して、じっくり見守る余裕を持てるといいですね。子どもが靴を履けた時に一緒に喜んでください。
靴がたとえ履けなかったとしても、子どもの話を聴いて共感して「頑張ったね」とハグして勇気づけを笑顔で伝えてください。
勇気づけの言葉や態度は、成功しても失敗しても子どもはしっかり受け取っています。
日々の対応で「自分には能力がある」と感じるようになるでしょう。
親が自身の感情に気づき受け入れることが大切です
親もいつも冷静や笑顔というわけではありませんね。さまざまな出来事に対して不安になることもあると思います。
子ども同士をいつの間にか比較したことへの自己嫌悪、コロナ禍で、いろいろな経験をさせたいと思っているのに感染から守りたい気持ちでの葛藤、不安などが気づかないうちに膨れ上がり、それがストレスとなり自己や他者へ矛先が向いていきます。
感情はとても大切な心のサインであり、たとえ不快な感情だとしても悪いということはありません。むしろ大切なメッセージと思って受け入れてみましょう。
そして普段から、ご自身の感情を観察してみましょう。
沸き起こる感情をあるがまま受け入れて、必要なら相手に伝えましょう。
例えば、「子ども同士を比較する」ということを考えてみましょう。
①その時に、どのような気持ちになりますか?
比較した時に沸き起こる感情は、比べてしまった罪悪感、子どもに対してのイライラ、もどかしさ、将来の不安などいろいろあるかもしれません。
この気持ちに気づいてください。
気持ちに気づけたら「私は、今~感じている」と、否定をせずただ受け入れましょう。
私は、今、罪悪感がある。私は、今、イライラしている。もどかしい気持ちだ。
②何がそのような気持ちを引き起こしているのか気づいてみましょう。
これらの感情は子どもに対する「期待」や「信念(~べき)」から沸き起こる感情かもしれませんね。
もし、「期待」がしっくりいくようでしたら、「この気持ちは子どもへの期待だった」と気づいて、受け入れてみましょう。
「信念(~べき)」がしっくりくるようでしたら、気づいて受け入れてから、「その信念は本当なのか?」「もしその信念がなかったらどんな気持ちか?」と感じてみてください。
どんな状況でも、感情を丁寧に受け取ることで、気づきがあります。
それは、ご自身を大切にすることにもつながります。
自分自身を信頼し大切にすることができれば、子どもにも同じように接することができます。
子育てをする親が、自分を愛し、日々に感謝し、笑顔でいることが、子どもにとって何よりも勇気づけになります。
どのような悩みも人だからこそ経験できるものです。関わる人すべてが学びの相手だと思います。
そして、悩みや問題は本当に自分の問題なのか考えてみてください。
もし相手の感情に左右されるのなら、もう一度感情の気づきと受容をしてみてください。
相手があなたをどう思うかは相手の問題なのです。
自分の気持ちに正直になり、自分自身どうしたいのか考えてみましょう。
「親が~をすると子どもは何を学ぶか(子育ての目標に向かっているか)」を意識しましょう。
自分自身を信じてください。そうすれば子どもを本当に信じることができます。
忙しい中でも自分自身に労い(感謝)の言葉をかけてください。
忙しい中でも少しだけ子どもの話を聴く時間を作ってみましょう。
命の存在を感じてください。子どもの命に感謝しましょう。
すべてに感謝をしましょう。
子育ては、一人一人個性があり100人いれば100通りの子育てがあります。
今回の言葉がけも、どの言葉がけがお子さんに合っているかそれぞれです。
お子さん自身が自分を好きになれる言葉、力が湧く言葉、心地よい言葉なのか直接聞いてもいいでしょう。
一番大事なのは、心の在り方です。心からお子さんに共感、尊敬、信頼、感謝の気持ちがあるか、またご自身にも同じようにあるか。とても大切なことです。
力を入れ過ぎず悩み過ぎず、子育てを楽しんでいただけたらと思います。
今回の記事が少しでも子育て中の皆さまへご参考になれば幸いです。
※連載①「子育ての目標と勇気づけの対応」はこちら
小島 まり子(こじま・まりこ)
キャリアコンサルタント |